2023.08.31タイムレスな子供の教育
ファイルシステムの機能について(高校情報Ⅰ)
こんにちは!タイムレスエデュケーションの日高です。
先月末に公開した記事で、コンピュータの基本的な構造について紹介させて頂きました。その中で、HDD(ハードディスク)などの記憶装置にデータが保存されるという説明があったと思います。ただ私たちが普段パソコンなどを使用してデータを保存する際は、記憶装置のことをあまり意識せず、ファイル単位でデータを保存して管理することが多いと思います。
ファイル管理は、OSが抱える3つの役割の内1つです。他にも、タスク管理やメモリ管理といった役割もあるのですが、今日の記事では「ファイル管理」について詳しく説明させて頂きます。是非最後までお読み下さい!
ファイルシステムの主な機能
前述した通り、私たちはパソコンなどを用いてデータを管理する時、個別のデータをファイルとして扱って管理しています。また目的に合わせてディレクトリ(WindowsやMacではフォルダとも呼ばれている)を用意し、複数のファイルをまとめて管理する事もありますよね。このような形式でファイル管理を行えるのは、実はファイルを操作するためのインターフェイスが、OSが提供する機能の1つであるファイルシステムによって構築されているからなのです。「ファイルシステムなんて聞いたことが無い!」という方も多いと思いますので、まずはファイルシステムの主な機能について見ていきましょう。
<保存機能>
ファイルシステムの主な機能の内1つは、皆さんにとって1番馴染みがあると思われる「保存機能」です。例えば作成した文書ファイルを保存する時、適当な名前を付けてから適当な場所に保存しますよね。ファイルシステムでは、ファイルを保存する際、ツリー構造にしてファイルを整理してくれます。ツリー構造のことを階層構造と言うこともありますね。具体的には、下記のような構造になっています。
ツリーの最上位に位置するディレクトリは、ルートディレクトリと呼び、'/'(スラッシュ)で表します。木の根っこのようなイメージを持って頂ければ、わかりやすいでしょうか。そしてディレクトリを順に辿って行くことで、目当てのファイルを見つけられます。
パス(ファイルのありか)を書いて特定のファイルを指定する際には、パスの区切りとして'/'を使います。またパスの指定方法には、絶対パスと相対パスの2種類があります。絶対パスで特定のファイルを指定する時は、ルートディレクトリから該当のファイルまで、スラッシュで区切りながらパスを書きます。例えば上記の図のような形でファイルが保存されている時に、'tower.jpg'のファイルを指定する場合、'/Tokyo/tower.jpg'のように表します。
また相対パスでは、現在のディレクトリを起点として該当のファイルを指定します。現在のディレクトリは'.'(ドット)、1つ上のディレクトリは'..'(2つのドット)で表現できるので、この事も合わせて覚えられると良いですね。上記の例だと、'tower.jpg'のファイルを起点として'disney.jpg'のファイルを指定する場合、'../Chiba/disney.jpg'と表します。
<その他の3機能>
またセキュリティを強化するための機能として、暗号化機能があります。この機能は、重要なファイルを暗号化してアクセス制限を設けるのに役立ちますね。ファイルの操作権限はユーザー毎に変えられるので、大切な情報を漏えいさせないためにも、非常に重要な機能と言えます。加えて、ファイルシステムには圧縮機能もあり、ディスクの領域を節約することができます。データの圧縮に関しては、過去の記事で詳しく説明していますので、是非お読み下さい!
他にも、ファイルの変更履歴を保存できるジャーナリング機能があります。具体的にどのように履歴を保存しているかと言うと、ジャーナルと呼ばれる領域にデータを定期的に保存してから、実際にデータを書き換えています。このような仕組みを使うことで、もしデータの変更中に障害が発生しても、ジャーナルに保存した内容を元にして変更の破棄、もしくはデータの復旧を行うことができるようになっています。
ここまでファイルシステムの主な4機能についてお話させて頂きましたが、暗号化機能や圧縮機能、ジャーナリング機能に関しては、全てのファイルシステムに実装されている訳ではありません。実は、ファイルシステムには複数の規格があり、規格によってそれぞれ特徴が異なります。ファイルシステムの規格については、次回の記事で解説する予定ですので、楽しみにお待ち下さい!
まとめ
今回の記事では、ファイルシステムが有する機能について紹介させて頂きました。普段の生活の中でパソコンなどのコンピュータを使っている方も、ファイルシステムのことを考えて操作する機会はあまり無いかもしれません。ただ自分が持つデータを正しく管理するためにも、使用しているコンピュータのファイルシステムがどのようになっているかを知っておく事は、大切だと思います。
次回も、情報Ⅰの教科書の中で扱われている内容を取り上げる予定です。記事の更新を、どうぞお楽しみに!今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました!!
参考文献:
黒上晴夫、堀田龍也、村井純、「情報Ⅰ」、日本文教出版株式会社、2022年1月